WOWOWのライブ映像に感動して、改めてPerfumeがどうやって出来たかを検証してみたい。(仮) その5

4.関和亮

Perfumeをチームと捉えて、スタッフの構成的に、中田ヤスタカMIKIKOと来れば、3人目に来るのは、やはり、関和亮(以下関さん)である。楽曲的なプロデュースは全面的に中田氏に依存しているが、ビジュアル的な側面でのプロデュース(アートディレクション)では、アミューズ側から特に細かい要望がある訳ではなく、ほぼ関さんへの委託となっているので、現在のPerfumeのイメージを作り上げた影響力は意外に大きいと思われる…。

中田氏の楽曲提供開始から、わずか後に、BEE-HIVEレコード2枚目のシングルモノクロームエフェクト」のCDジャケットの制作から参加し、サードシングルの「ビタミンドロップ」以降のほぼ全てのPVを手掛けて来た関さんも、当時は駆け出しの頃で、やはり、Perfumeとともに成長の道を歩んでいる。

関和亮といえばPerfume。という位に、身内のような存在の関さん。中田氏とは反対に、とても相性が良いのだが、自身を2流作家と自虐するような、物腰の低さで、Perfumeの3人も親戚のお兄さんの様に親しんでいる様子が、PVの制作現場の映像でも察せられる。十代のデビュー当時から度々行われたPVの撮影作業、一昼夜ぶっ通しになる厳しい現場を、気心の知れたスタッフとのびのび行える事は、3人の精神衛生上とても良い影響を与えた事は間違いない。

関さんの作品では、特に、前出の近未来3部作は楽曲の良さとも相俟って、気合いの入ったものとなっており、Perfumeのイメージの基礎となっている。また、作品ごとに、様々な手法にチャレンジしてファンを楽しませてくれるが、CGは控えめで、舞台装置を駆使したワンカット撮影風の「VOICE」等も秀逸だ。他の2人のスタッフ同様、幅広く活動しており、恐らく当人の最高傑作は、2010年制作のサカナクションの 『アルクアラウンド』のPVだろう。(…なんで!?)

ただ欲を言えば、このアートディレクションの部分は、楽曲とダンスに比べると、取捨選択出来る部分なので、ファンにとっては一番物足りない部分でもあり、(そこが2流と自嘲する所以か?)日本を代表する映像作家の児玉裕一氏が制作したナチュラルに恋してのPVは現時点でのPerfumeの魅力を存分に引き出している気がするので、関さんへのこれからの頑張りを期待しつつ。海外進出に向けて、様々な選択肢を模索していって欲しい気もする。(願望、続く)